平成24年 東京新大学野球連盟春季入れ替え戦


[1部リーグ戦] [2部リーグ戦] [3部リーグ戦] [4部リーグ戦]
[入れ替え戦] [大学選手権]


平成24年6月10日 飯能市民球場 1・2部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京学芸大(1部6位) 0 1 0 0 0 2 3 0 0 6
高千穂大(2部1位) 4 1 0 0 0 0 0 0 0 5


(この試合の記事は東京理科大学卒業生・藤島由幸氏によるものです)

単に接戦という言葉だけでは片付けられない、様々な要素が絡み合った試合となった。

1回裏に早くも好機が訪れる。高千穂大は、先頭の広瀬が11球粘って四球で出塁する。 走者を進められず2死1塁となるが、ここから野口の適時2塁打、平沼の適時打、岡崎の2点適時3塁打等の4連続長短打で一挙4点を奪う。 高千穂大のこの日の作戦は、直球に的を絞ってファーストストライクから手を出すというものだったと思われる。 2回にも渡部の適時2塁打で加点した。リードをもらった高千穂大の先発・三ツ間は、こちらも積極的にスイングしてくる東京学芸大打線に立ち向かう。 2回に味方のエラーで失点。4回にも1死1・3塁のピンチを招くが、この場面は内野ゴロ併殺で切り抜ける。 球威を重視する投球で適度に荒れており降板するまで6つの四球を与えたが、何と6回2死まで安打を許さなかった。 東京学芸大の反撃は、ようやく初ヒットが生まれた6回から。加藤の2点適時2塁打で差を縮めると、 7回には工藤が2点適時3塁打を放ち同点に追い付く。さらには今に適時打が出て、逆転に成功した。 序盤に思わぬ失点を喫してしまった東京学芸大・阿部だが、3回以降は完璧に立ち直った。 やはり歴史ある伝統校だけに、敗れるようなことがあってはならないというプレッシャーは相当大きなものだったと想像できる。 また、広瀬からリズムを崩されたということもあるかもしれない。 しかし、3回から7回までの5イニングスは一人の走者も許さなかった。 捕手・古川の変化球を効果的に織り交ぜる配球も光っていた。 8回・9回には同点の走者を得点圏まで進められるが、後続を断って9回完投勝利となった。

東京学芸大は序盤に大量得点を奪われ、チーム全体に動揺が走ったことだろう。 だがその後は落ち着きを取り戻し、本来の投球をすれば相手打線をきっちり抑えられることを証明して見せた。 まさにエースの役割を果たしたと言える。高千穂大が今季2部優勝の立役者を登板させなかったのは、大胆な奇策と捉えるべきであろうか。 入れ替え戦において1勝だけしても昇格または残留を掴めないことは明白で、 相手エースが登板しない第2戦を取りにいって一気に流れを変える作戦なのかもしれない。 序盤の大量リードは高千穂大にとっても想定外だったという気がする。 思わぬ形で先勝するチャンスが転がり込んだが、当初のプランを曲げ無理をして勝ちを拾いにいくことはしなかった。 2戦目に先発予定である投手を最後まで温存したのは非常に不気味でもある。 また、6回・7回の東京学芸大の得点は、いずれも2死無走者から生まれたものだった。 あと一人抑えればピンチを切り抜けられるという状況だった為、余計に継投のタイミングが難しかったと思われる。 終盤の攻防は、諦めずにコツコツとチャンスを積み上げた東京学芸大打線の粘り強さを称賛するべきだろう。 それから、両校とも送りバントを用いないイメージがあるが、この試合の中での犠打の数もゼロだった。 2戦目以降も同じようなクロスゲームになった場合、果たしてバントを使うのだろうか。 両監督の采配にも注目したい。

平成24年6月12日 飯能市民球場 1・2部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
高千穂大(2部1位) 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
東京学芸大(1部6位) 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2
(延長11回引き分け)

平成24年6月13日 飯能市民球場 1・2部入れ替え戦第3戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京学芸大(1部6位) 3 0 0 0 0 1 0 0 1 5
高千穂大(2部1位) 0 0 1 0 0 0 2 0 0 3


平成24年6月10日 飯能市民球場 2・3部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7
東京工科大(2部6位) 0 0 0 0 0 0 0 0
駿河台大(3部1位) 1 2 1 2 0 1 × 7
(7回コールド)

駿河台大が戦前の予想通りの実力差を見せて快勝した。

1回に無死1,3塁から3番・小松の内野ゴロで先制した駿河台大は2回に9番・羽石のスクイズ、1番・宮崎の右前適時打で追加点。 以後も4番・高橋敏の犠飛、2番・高橋寛の適時2塁打等、どこからでも点の取れる攻撃力を見せ、 終わってみれば6回で10安打5盗塁7得点と自在に攻めた。投げては先発・新山が序盤に制球が定まらない 場面も見られたが、無失策2併殺の野手陣もよく守り、7回を無失点で抑えた。

東京工科大は1・2回と続いた2死1,2塁の好機を逸し、後手にまわった。頼みのエース・齊藤は 粘りも見せたものの特に相手打線の1・2番にやられたのが痛かった。

平成24年6月16日 飯能市民球場 2・3部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
駿河台大(3部1位) 0 0 0 3 0 0 0 3 1 7
東京工科大(2部6位) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

※駿河台大・新山投手が無安打無得点試合達成

平成4年の同時加盟を画策しながら両チームがそれぞれの道を歩んで20年あまり。 顔を合わせることなく入れ替わった昨季から半年。 およそ20年前に生まれた選手たちを主人公に両者が初めて顔を合わせた対戦は、 双方が「元に戻った」結果となった。

第1戦から1週間。双方、第1戦に先発した投手を先発マウンドに送り、序盤は無得点。 試合が動いたのは4回。駿河台大は3番・小松の適時打と5番・藤原の2点適時打で先制。 以後はなかなか追加点が奪えなかったものの8回表に山岸の2点適時3塁打等で貴重な追加点。 9回には代打・野口の四球、代走・基岡の盗塁、代打・赤尾の適時打で加点と、層の厚さも見せた。 投げては先発の新山が力投。直球・変化球のコンビネーションもよく、四死球1個ずつだけで 相手に付け入るスキを与えず、味方に安心感を与える投球で無安打無得点試合を達成した。 多少ボール球が先行する場面もあったが積極的に打って出る東京工科大打線にも助けられた。 東京工科大は齊藤が縦の変化球を駆使して粘投。7回表無死2,3塁の危機も右飛でタッチアップを 狙った3走を右翼・佐藤の好送球で本塁で刺すなど必死の守備も見せたが、力及ばなかった。

駿河台大は不遇の3部降格となったものの3部リーグ戦を全勝で駆け抜け、再び2部に戻ってくることとなった。 今回の入れ替え戦で、1季の損失は小さくないとも見えたが、安定した投手力と多彩な攻撃力で、 2部のどの位置まで戦力を戻せるか、注目である。 一方、1季で3部に戻ることになった東京工科大だが、昨秋の優勝および今季2部で3勝をあげた 実績・経験は、少なくとも自分たちの中では色褪せさせる必要はない。 3部優勝候補筆頭として次のシーズンを迎え、再びこの戦いに戻ってくることを期待したい。


平成24年6月10日 飯能市民球場 3・4部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京外国語大(3部6位) 1 0 0 1 0 0 0 3 0 5
東洋学園大(4部1位) 1 5 0 0 0 0 0 0 × 6

必死の思いがぶつかり合った好勝負、最後まで予断を許さない一戦は東洋学園大が逃げ切った。

序盤は東洋学園大が圧倒。1回表に東京外国語大が1死2塁から3番・丸山の一ゴロが敵失を誘い先制するものの、 その裏東洋学園大が4番・満田の左線適時打で同点。2回裏には東洋学園大が連続四死球とバント安打から 得た無死満塁の好機で1番・福地が右中間に走者一掃の適時3塁打。その後も5番・小山の適時2塁打等も出て この回5点をあげた。以後も東京外国語大先発・神谷は初回から5イニング連続で先頭打者に四球を出し、 攻めては4回1死1,3塁から6番・嶋野のスクイズであげた1点止まり。5回表2死2,3塁は 丸山のいい当たりが二塁正面を突き、6回表2死2塁の右前打では2走が本塁憤死。 東京外国語大はまったく流れをつかめていなかった。しかし5回途中からリリーフしていた 5年生・休波が後続を断って反撃を待つと8回表、4番・矢作の適時打で1点返したあと、 5年生・金沢を代打に送り2点適時打で1点差。猛追を見せた。9回表も1死2塁で当たっている 1番・田崎にまわしたもののここは東洋学園大・葛野が田崎を三振に斬る。後続も抑えて逃げ切った。

序盤でビハインドを負ったものの東京外国語大の戦いぶりには気持ちが十分に入っていることを感じ、 なりふりかまわず見せた必死の猛追は入れ替え戦のあるべき姿を見られたとも言える。 対して東洋学園大も追加点を取れなかった点や守備面の3失策など課題も散見はされたが、 1・2年生だけながらも個人・チームともに十分な力を持っていることも見せた。 第2戦が楽しみなカードである。

平成24年6月16日 飯能市民球場 3・4部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
東洋学園大(4部1位) 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 4
東京外国語大(3部6位) 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 0 3
(延長11回)

※得点経過は東京外国語大のホームページより


シーズンごとの戦績紹介のページ

東京新大学野球連盟のページ