東京新大学野球連盟卒業生が
指導者として高校球児に送ったメッセージ
(甲子園大会および予選の中止を受けて)


**岡山**

江口雅也氏
(岡山工業高校野球部顧問)
(東京理科大卒)
(甲子園大会が中止になった翌日に本校生徒に向けたメッセージです)

こんにちは。昨日の報道ですでに知っていると思いますが、夏の全国高校野球選手権大会が 中止になり、それに伴う岡山県予選も中止が決定しました。 特に3年生は最後の夏に向けて今まで苦しい練習に耐え頑張ってきて、 休校中も開催の望みにかけて取り組んできたと思いますが、 中止となりその落胆を思うと言葉になりません。

今日これから岡山県高野連で理事会を開催し、3年生が今まで個人としても チームとしても積み重ねてきたものを披露する場が何とか開けないか、検討していきたいと思います。 まだまだクリアしないといけないハードルはたくさんありますが、 高野連として教師として何とかしたいという思いです。 特に3年生は目標がなくなってどうしていいか悩んでいたり、 落胆したりしていると思いますが、みんなが今まで頑張ってきたことは絶対に無駄ではないし、 甲子園がなくなったからと言って消えるものではないです。 そして、みんながここまで好きな野球を続けてこられたのは周りの支えがあってこそで、 最後の夏というのは今まで頑張ってきた姿をいろんな人に披露する場でもあると思います。 自分が小さい時から野球を続けてきて、ここまで成長した姿を周りの支えて くださった方々に見てもらい、感謝の思いを伝えて、次のステージに向けて 進んでいく区切りの大会だと思います。 その舞台を用意できるように、先生も頑張ろうと思うので、 みんなもどうか自分のためにも周りの支えてくれた方々のためにも、 最後まで高校野球をやりきってほしいです。

戦争後にこんな試練は先生も含めて今までの高校球児の誰も経験していないと思います。 この試練を前向きに乗り切った時にみんなはさらに強くなれるはずです。 周りの仲間と励ましあって、最後まで3年生の仲間でやり切った姿を見せてほしいと思います!


**長崎**



田中秀和氏
(諫早高校野球部部長)
(東京農工大卒)
休校・部活動停止の期間が続く中で、長崎県では甲子園大会の予選の 前に2つの大会(春の大会、NHK杯)の中止が決まっていきました。

その中で、新たな試みとして、部としてのグループLINEを作成しました。 監督からのこの期間にやっておいてほしいことを伝えました。 また、班(攻撃、守備、戦術、トレーニング等...)ごとに目標を設定したり、 メニューを提案する場となりました。毎日ルールクイズを出したりもしました。 あくまで夏の大会があるつもりで、この状況の中で 今自分たちができることは何か、夏の大会に向けて自分たちがやるべ きことは何かを考えさせ、彼らの気持ちをつなぐことを考えてきました。 野球のみならず人としても、勉学にしても今できることに、 精一杯がんばって取り組んでもらえるように心を砕きました。

そうして迎えた甲子園大会及び予選の中止発表。その日は私も彼らに どういう声をかけたらいいか分からず「君たちの甲子園に対する気持ちは 十分に分かっている。残念ではあるが、この状況の中で大会がで きないことは仕方がない。正直、今は言葉が見つからない。しかし、 甲子園はなくとも、君たちが甲子園を目指して取り組んだ3年間は無駄ではない。」 とだけ伝えました。

その後長崎県高野連として代替大会の開催も決まり、私自身もある程度 気持ちの整理がついてきたので、生徒たちに折に触れて話をしています。 一つはありきたりですが、今まで当たり前だと思っていたこと は当たり前ではないんだということ。そして甲子園という目標を失った こんな苦境ではあるけれど、これからどうするかに目を向けよう。 目の前にあることに懸命に取り組むよう伝えています。高体連の大会 も中止になり、校内でも大半の生徒たちは最後の大会も集大成の場も 突如として失い、失意のまま受験勉強に切り替えています。 その中でも野球部は、代替大会とはいえ「目指す夏」が続く。 正直に言えば周囲にいろいろな声があるのも事実ですが、それでもまだ 最後の夏があることに感謝して、野球をさせてもらえることに感謝し、 謙虚であるように伝えています。

長崎県では代替大会の組合せ抽選も終わり、全県トーナメント、 無観客ですが、保護者の入場は可能、などの条件で大会が予定されています。 "最後の特別な夏" に向けた生徒たちの成長に繋がってくれればと願っています。


**静岡**



土屋将平氏
(小山高校野球部監督)
(東京学芸大卒)
選手権大会の中止が決まった時には正直選手にかける言葉が見つかりませんでした。 元高校球児の私も甲子園を目指し、いろいろなことを犠牲にして努力をしていたので 自分が選手の立場だったらと考えるとなんとも言えない喪失感に苛まれました。

私が勤務している静岡県では中止と同じタイミングで代替大会を検討しているという 話があったので、とにかくその大会ができることを心から願って今できることを 一生懸命やろうという話をしました。

また日常からいろいろなことを想定しておくことを指導しているので、 もしかしたら試合ができずに3年生は引退せざるを得ないかもしれないという話も事前にしました。 もしそうなった時に休校期間にできることはないか、後輩に残せるものはないか ということでオンラインのミーティングを行っていました。 状況によって考えられるプレーに関して議論をし、簡単な「野球マニュアル」を作成しました。 これは部活が再開した今とても役に立っています。

代替大会の開催が決定してからは野球ができることは当たり前のことではなく とても幸せなことだということを話しました。だからこそ、野球を楽しみ、 全力で悔いのないようにやり切ろうという指導をしています。

何よりも野球ができること、試合ができることが全てです。 選手にはその気持ちをグラウンドで大いに表現してもらいたいです。

最後に東京新大学野球連盟の皆さん、春リーグの中止が決まり特に4年生の皆さんは 残念な思いでいっぱいだと思います。まだまだ大変な時期が続くと思いますが、 秋リーグに向けて今できることを精一杯頑張ってください! 4年間の努力は必ず社会に出て活力に変わります!

**青森**



中村港氏
(七戸高校野球部コーチ)
(東京学芸大卒)
コロナウイルスの影響により春季リーグ戦ならびに入れ替え戦、大学野球選手権の 中止が決まりOBとしても非常に残念に思います。

現在高校球児を指導しておりますが、同じようにコロナウイルスの影響により、甲子園大会が中止になりました。 私が同じ高校球児だった頃は、当たり前のように甲子園を目指し、仲間と喜び合い、 悔しさを味わい、人生一の思い出となっています。 今の高校三年生の気持ちを思うと、彼らにかけてあげる言葉が見つからない状態でした。 彼らのモチベーションを下げないためにも、代替大会の開催が分からない中でも、 練習や練習試合は今まで通り行い、大会に向けての準備はさせていました。 ありがたいことに、私が勤めている青森県では代替え大会の開催が決まりました。 甲子園で野球をやるという目標は絶たれてしまいましたが、今までやってきたことを ぶつける場所はあるから、そこに向けて変わらず練習していこう。 そして今まで野球をする上で支えてくれた人たちへの感謝を持って試合に臨もう!と指導しています。 僕らの予想に反して、生徒たちは気持ちを切り替え、懸命に練習しています。 やるべきことを見つけ、懸命に努力し、成長している姿を見て、社会人となった私たちも勉強になっています。

4年生のみなさんは、春季リーグ戦がなくなり、モチベーション維持が難しい状況に立たされていると思います。 ですが、次の戦いまでの準備をおこたらず、自分の目標に向かって努力することはできると思います。 その姿、過程は自分にとって必ずプラスであり、周りの選手やチームにとっても良い影響をもたらし、 必ずプラスの方向に進んでいくと思います。

みなさまのご活躍を心から祈っております。


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