平成9年 東京新大学野球連盟2部春季リーグ戦


「日工大、2部昇格のち即優勝! 即1部昇格!!」
日工 農工 杏林 国際 駿河 理科 得失点差
日本工業大 ×× ○○ ○● ●○ ○○ ○○ 8 2 0 79 51 +28
東京農工大 ●● ×× ○○ ○○ ○○ ●○ 7 3 0 60 50 +10
杏林大 ●○ ●● ×× ○● △● ○○ 4 5 1 54 52 +2
東京国際大 ○● ●● ●○ ×× ●○ ○● 4 6 0 52 50 +2
駿河台大 ●● ●● △○ ○● ×× ○● 3 6 1 45 63 -18
東京理科大 ●● ○● ●● ●○ ●○ ×× 3 7 0 46 70 -24

試合結果

4/12 ●東京農工大 5-15 日本工業大○(8回コールド) ●東京理科大 3-8 駿河台大○
4/13 ○杏林大 6-5 東京国際大● ●駿河台大 5-7 東京農工大○
4/19 ●東京理科大 1-4 杏林大○ ●日本工業大 0-3 東京国際大○
4/20 ●東京国際大 1-4 東京農工大○ ●駿河台大 0-15 日本工業大○(7回コールド)
4/26 ○駿河台大 8-4 東京国際大● ○日本工業大 8-1 東京理科大●(7回コールド)
4/27 ○東京農工大 5-3 杏林大● ●駿河台大 5-8 東京理科大○
4/29 △杏林大 5-5 駿河台大△ ○東京国際大 7×-0 東京理科大●(7回コールド)
5/3 ○日本工業大 9-8 東京農工大● ○杏林大 12-3 東京理科大●(7回コールド)
5/5 ○東京国際大 12×-7 杏林大●(8回時間切れコールド) ○東京農工大 5-1 駿河台大●
5/10 ●杏林大 6-8 日本工業大○(8回時間切れ) ●東京農工大 5-6 東京理科大●
5/11 ○日本工業大 7×-6 駿河台大●(延長10回サヨナラ) ○東京農工大 7-4 東京国際大●
5/17 ○東京理科大 11-3 東京国際大●(7回コールド) ○駿河台大 6-1× 杏林大●(9回2死降雨コールド)
5/18 ●東京国際大 5-6 日本工業大○ ●杏林大 1-6 東京農工大○
5/24 ●東京理科大 5-8 東京農工大○
5/25 ○東京国際大 8×-1 駿河台大●(7回コールド) ●東京理科大 8-10 日本工業大○(延長16回)
5/31 ●日本工業大 1-9 杏林大○(7回コールド)


個人タイトル
首位打者 木村 昭裕(日工大.33)

岩井 悟(日工大.1)
33打数15安打 .455

33打数15安打 .455
最多本塁打
中島 敬蔵(農工大.44)


40打数17安打 .425 4本塁打

最多打点
中島 敬蔵(農工大.44)


40打数17安打 .425 12打点

最優秀出塁率
木村 昭裕(日工大.33)


33打数15安打10四死球 .581

最多盗塁
塚野 武(日工大.7)


36打数12安打 .333 14盗塁

最多勝利
中島 敬蔵(農工大.44)


5勝1敗0S 防御率 2.66

最優秀防御率
川野邊 篤(杏林大.16)


3勝1敗0S 防御率 1.40

最多奪三振
中島 敬蔵(農工大.44)


5勝1敗0S 奪三振 34


打撃成績 (規定打席数は、28-コールド勝利数)
打席 打数 打点 打率 出塁率 得点圏
1.木村 昭裕(日工大.33) 43 33 15 1 19 10 0 3 10 .455 .581 .562
1.岩井 悟(日工大.1)△ 34 33 15 1 20 9 1 5 0 .455 .441 .500
3.中島 敬蔵(農工大.44) 46 40 17 4 32 12 1 7 5 .425 .478 .438
4.金子 達雄(日工大.8) 43 36 13 0 19 4 2 4 5 .361 .429 .300
5.瀬辺孝一郎(日工大.4)□ 40 34 12 2 18 8 2 3 4 .353 .421 .313
6.坂井田篤史(農工大.1) 43 37 13 2 21 8 1 9 5 .351 .419 .500
7.斉藤 康弘(農工大.24) 41 32 11 0 15 3 1 4 8 .344 .475 .091
8.塚野 武(日工大.7)△ 46 36 12 1 23 8 1 3 9 .333 .457 .462
9.伊藤 勝悟(農工大.2)△ 47 40 13 3 23 8 0 3 7 .325 .426 .333
10.吉田 大治(理科大.21) 40 34 11 0 14 6 0 3 6 .324 .425 .429
11.佐藤 竜也(駿河台.7)△ 46 38 12 0 17 5 2 4 6 .316 .409 .143
12.山本 正(杏林大.5) 43 36 11 0 13 5 1 4 6 .306 .405 .286
12.鬼沢 智宏(国際大.12) 42 36 11 0 14 4 1 2 5 .306 .390 .167
14.前田 誠(農工大.56) 45 37 11 2 18 6 0 2 8 .297 .422 .167
15.鬼木啓一郎(理科大.1)△ 41 36 10 1 13 5 0 4 5 .278 .366 .375


投手成績(規定投球回数は、28-コールド勝利数)
試合 S 投球回数 打者 防御率 被打率
1.川野辺 篤(杏林大.16) 9 3 1 0 38 2/3 174 30 0 32 19 16 6 1.40 .203
2.駒木 康祐(駿河台.60) 8 2 4 0 37 1/3 176 29 1 17 35 31 10 2.41 .213
3.橋本 直弥(国際大.21)△ 8 3 2 0 37 1/3 176 24 0 22 37 19 11 2.65 .188
4.中島 敬蔵(農工大.44) 8 5 1 0 61 270 46 2 34 43 30 18 2.66 .213
5.大谷 慎吾(日工大.19)△ 5 3 0 1 26 2/3 123 29 1 20 11 13 8 2.70 .279
6.川内 真之(国際大.18)△ 6 1 3 0 26 125 28 1 14 22 17 15 4.15 .295
7.服部 拓(日工大.17)△ 5 3 1 1 32 1/3 149 26 2 16 25 17 15 4.18 .211
8.細貝 章(駿河台.11) 6 1 1 1 32 2/3 151 39 5 14 12 20 16 4.41 .295


入れ替え戦


平成9年6月14日 創価大学グランド 1・2部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
日本工業大(2部1位) 0 0 0 0 0 0 2 2 0 4
工学院大(1部6位) 0 0 2 0 3 1 0 0 × 6

先発・服部が安定した立上りを見せた日工大だったが、3回に工学院は志摩・井手の連続適時2塁打で先制。5回には岡部の2点適時打で加点し、服部KO。その後も工学院は追加点を奪い、一方的な試合展開に見えたが、日工打線も7回に塚野の2点適時3塁打、8回に工藤の2点本塁打で反撃。しかしその反撃も一歩及ばず、工学院・佐藤に押し切られた。工学院は平成7年の1部昇格時ほどの強さは感じないものの、好機にしっかり得点をするあたりはさすが。佐藤も板橋・高田(今春卒業)ほどではないまでも直球主体の投球で日工打線をつまらせた。

平成9年6月15日 工学院大学グランド 1・2部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7
工学院大(1部6位) 0 0 0 1 1 0 0 2
日本工業大(2部1位) 0 1 2 0 0 1
(7回コールド)

2番手投手と思われる岡川を温存した工学院は、2回に日工に先制を許す。さらに3回、日工は連日となる工藤の2点本塁打で優位に試合を進める。工学院も4回に塩見の適時2塁打、5回に岡部良の本塁打で一時詰め寄るも、日工・大谷のかわす投球に翻弄され、なかなかつかまえられない。そして7回、工学院が3番手に送り出した村木が大乱調。3四球に2本の2塁打、失策も絡み、一気に日工がコールドで試合を決めた。攻撃が空回りした工学院に対し、日工は工学院の控え投手陣を打ち込み、依然として優位に立ったとは言いがたいものの、決着は第3戦に持ち込まれた。

平成9年6月16日 創価大学グランド 1・2部入れ替え戦第3戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
日本工業大(2部1位) 0 0 1 2 2 0 3 2 0 4 14
工学院大(1部6位) 0 0 0 1 1 0 0 3 5 0 10
(延長10回)

4回途中で工学院の先発・入江をKOした日工は、5回には工藤の3試合連続となる本塁打で5-1とリード。7回には工藤の適時打や暴投等で3点、8回には木村の適時打等で2番手・岡川も引きずりおろし、日工はコールドペース。しかしここから1部校・工学院が1部への執着心を見せる。8回には先発・勝俣をKOし、代わった服部から好機を広げ、さらに代わった第2戦の勝利投手・大谷から2点を奪い、コールドを免れる。さらに5点ビハインドの9回、前日ほどの球の切れがない大谷から志摩の適時打、懸川の犠飛で2点。さらに2死1塁から敵失で好機を広げ、串田・岡部秀の連続適時打で同点。土壇場で同点に追いつき、工学院が息を吹き返したが、日工もひるまない。延長10回、村木から連続四死球で好機をつかみ、塚野の適時3塁打で2点を勝ち越し、4番手・佐藤をひきずりだす。この佐藤から木村の連続適時3塁打、工藤の犠飛でさらに2点を奪い、佐藤は涙の降板。裏に工学院も2死満塁まで攻めるが大谷がふんばり、逃げ切った。3時間を超える両チームの死闘は、常に自分たちの流れで自分たちの野球を展開した日工大に軍配が上がった。

平成7年に板橋・高田らの活躍で1部昇格を果たした工学院大は、彼らの卒業とともに2部に逆戻り。一方、平成6年には3部転落まで経験した日本工業大は、2部昇格直後の今季にすぐに1部昇格を勝ち取る復活劇。実に平成2年の2部転落以来、15季ぶりの1部昇格となった。


平成9年6月14日 創価大学グランド 2・3部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京都立大(3部1位) 2 0 0 1 1 0 0 0 0 4
東京理科大(2部6位) 1 0 1 0 0 2 0 1 × 5

初回に都立は、3部優勝の勢いそのままに、理科大の若きエース・白坂から保田の適時打等で2点を先制。しかしその裏に理科大も白井の適時3塁打で1点を返す。3回にはまたも白井に適時打が出て理科大は同点に追いつくが、ここ5シーズンで4度の入れ替え戦を経験している "常連" の都立は、4回に内野ゴロで、5回に阿曽沼の適時打で加点し、ペースをつかんだように見えた。しかししかし5月10日の白坂のデビュー以来、すべての試合でいい試合を展開している理科大は、6回に相手守備陣の乱れで追いついた後、8回には岡田の四球・2盗・3盗、そして白井のスリーバントスクイズ、と結局無安打で決勝点。先発の中村を始めとして、善戦した都立ではあったが、わずかな守備のほころびから失点し、惜しい試合を落としてしまった。

平成9年6月15日 工学院大学グランド 2・3部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京理科大(2部6位) 0 0 0 0 1 2 0 0 3 6
東京都立大(3部1位) 0 0 0 0 0 0 1 3 1 5

無難な立ち上がりを見せた都立・市川に対し、理科大・白井はいきなり無死2.3塁の危機。しかしクリーンアップが不調な都立はこの好機に無得点。その後試合は投手戦となったが、理科大が5回に敵失で先制。6回には白坂の適時2塁打と山本の犠飛で追加点を奪い、3点をリード。白井も安定した投球を見せており、理科大が優位に試合を進めていたが、8回に連続四球を出したところで白井から山本にスイッチ。この山本も乱調で、四球で満塁としたあと、暴投で1点差。さらに岩佐の適時打と奥原の犠飛で逆転を許した。前日の理科大と同様に8回裏に勝ち越した都立だが、逆に都立はこのリードを守り切れない。9回に2四球等で無死満塁の危機を迎え、吉田のセカンドゴロを、阿曽沼が2点タイムリーエラー(本塁への悪送球)。さらに押し出し四球で加点した理科大は、9回裏に青木の本塁打で追い上げられ、2死1.3塁まで攻められたものの、かろうじて逃げ切り。またも都立は善戦はしたものの、結局守備に対する意識の違いで接戦を落としたと言える入れ替え戦だったのではなかろうか。一方の理科大は、平成5年の2部昇格以来、2度目の3部転落の危機ではあったが1年生エース・白坂のがんばりと、機動力を生かした野球で2部残留。秋に向けて期待の持てる戦いぶりだったと言えるだろう。

今季の展望(シーズン前に書いたものです)

まず、確実に優勝争いに加わることになりそうなのは、東京国際大学である。今季の2部の6チームのうち5チームが新チームになる中で唯一、昨秋と同じメンバー(1人除いて)で戦えるチームである。2部の中でも個人レベルの高い選手が揃っており、今季の2部の投手陣が相手なら、打線は大きな期待がかけられる。小柄なエース、川内真之(城南高校出身、3年)は、伸びのある速球を持った左腕だが、四球病がやや心配ではある。しかしそれが解決できればこのチームは大きく優勝に近づくであろう。

このチームに対抗するのは杏林大学である。昨季は9勝1敗で優勝を飾り、1部6位の日本大学生物資源科学部との入れ替え戦では、1勝2敗ながら大接戦を演じた。そのときのチームから、野手のレギュラーは宮野博明(盈進高校出身、前4年、元主将)以外は全員残り、野手としての戦力は大きなものがある。打線は全体的に長打力がある選手は少ないが、うまく得点を取るという点では2部でもトップレベルであり、今年も切れにくい打線は組めそうだ。個人的には村上貴洋(盈進高校出身、3年)の打撃に大いに注目したい。問題なのは井澤俊介(作新学院高校出身、前4年)が抜けたあとの投手陣であるが、エース候補の川野辺篤(多賀高校出身、4年)は軟投派だが安定感抜群の投手である。井澤の穴を完全に埋めるのは難しいだろうが、渡部真弘(茅ヶ崎高校出身、3年)、渡辺俊弘(東京高校出身、3年)といった左腕もおもしろい存在で、あとは中野監督のやりくりに期待したい。

以上の2チームを、残りの4チームが追う展開となりそうである。その中でも不気味な存在として、3部から2部に昇格したばかりの日本工業大学を、あえて挙げたい。打線は大物打ちは少ないが足を使った機動力野球を展開しており、守備も悪くない。攻撃、守備ともに、3部のチームのようなだらしなさがあまりない。不安なのは、5人いながら決め手に欠ける投手陣であろう。継投策で戦っていくことになりそうだが、現状のままではやや苦戦しそうな雰囲気がある。また、理系大学ということで、新4年生が現役を続けられずに、引退してしまうようなことになると、苦しいリーグ戦を強いられるだろう。

"春に強い" 駿河台大学も侮れない。打線は大量得点を取る力を持っており、守備も失策が少ない。野手の個人レベルはなかなかのものがあり、早い段階から経験を積んでいる選手が多いのも強みである。ただ、このチームの弱点はやはり投手力ではなかろうか。エースの細貝章(駿台甲府高校出身、3年)は経験も積んでいて悪くない投手で、細貝のがんばり次第では昨春の再現も十分にありえる。だが2番手以降の投手が不安である。これをどう解消するかも1つのポイントとなろうが、いずれにせよ、細貝のできがこのチームのシーズンを決めそうである。

昨年から今年にかけての戦力抜けが大きく響きそうなのは、東京理科大学と東京農工大学である。ただ、盗塁王候補筆頭の理科大の鬼木啓一郎(修猷館高校出身、4年)や昨春に杏林大学から完投勝利を挙げた農工大の中島敬蔵(飯田高校出身、3年)など、両チームにも2部で通用している選手が何人かおり、ひそかに上位進出を狙う。


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