「事実上の認定転落から1年。エリート集団・日大生物が23季ぶりの2部制覇」
日大 | 国際 | 理科 | 工学 | 農工 | 駿河 | 勝 | 敗 | 分 | 得 | 失 | 得失点差 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日大生物 | ---- | ○○ | ●○ | ○● | ○○ | ○○ | 8 | 2 | 0 | 82 | 54 | +28 |
東京国際大 | ●● | ---- | ○○ | ○○ | ○○ | ○● | 7 | 3 | 0 | 59 | 38 | +21 |
東京理科大 | ○● | ●● | ---- | ●● | ●○ | ○○ | 4 | 6 | 0 | 37 | 51 | -14 |
工学院大 | ●○ | ●● | ○○ | ---- | ●● | ○● | 4 | 6 | 0 | 32 | 46 | -14 |
東京農工大 | ●● | ●● | ○● | ○○ | ---- | △● | 3 | 6 | 1 | 41 | 51 | -10 |
駿河台大 | ●● | ●○ | ●● | ●○ | △○ | ---- | 3 | 6 | 1 | 39 | 50 | -11 |
※今季の日大生物の入れ替え戦を観戦しての筆者・山口の雑感を別のページに書いています。興味がある方はどうぞ→こちら。失礼承知。
※今季の駿河台大の入れ替え戦を観戦しての筆者・山口の雑感を別のページに書いています。興味がある方はどうぞ→こちら。駿河台大4年生、4年間お疲れさま!
※自分の6年間の大学野球生活を終えての文章も書いています。興味がある方はどうぞ→こちら。
9/6 | ○東京農工大 3-0 工学院大● | ○日大生物 14×-6 駿河台大●(8回コールド) |
9/12 | ○東京国際大 6-1 工学院大● | ○東京理科大 4-3 駿河台大● |
9/13 | ●東京国際大 2-3 日大生物○ | ○東京農工大 6-3 東京理科大● |
9/19 | ○東京国際大 3×-2 駿河台大●(延長10回サヨナラ) | ●東京理科大 2-3 工学院大○ |
9/20 | △東京農工大 4-4 駿河台大△(延長12回) | ○日大生物 13-12 工学院大● |
9/23 | ○東京国際大 7×-0 東京理科大●(7回コールド) | ●東京農工大 3-10 日大生物○(7回コールド) |
9/26 | ○東京国際大 3-2 東京農工大● | 駿河台大VS東京理科大戦は5回降雨ノーゲーム |
10/3 | ●工学院大 2-5 東京国際大○(延長10回) | ●駿河台大 5-9 日大生物○(延長11回) |
10/4 | ●工学院大 0-7 東京農工大○(8回コールド) | ○日大生物 10-9 東京国際大● |
10/10 | ○東京理科大 7-3 東京農工大● | ○駿河台大 5-1 東京国際大● |
10/11 | ○工学院大 2×-1 東京理科大●(延長10回サヨナラ) | ○駿河台大 4×-3 東京農工大●(9回サヨナラ) |
10/25 | ●駿河台大 5-8 東京理科大○ | |
10/31 | ○東京理科大 5-3 日大生物● | ○工学院大 2×-1 駿河台大●(9回サヨナラ) |
11/1 | ○工学院大 8-4 日大生物● | ●東京理科大 5-14 東京国際大○(7回コールド) |
11/3 | ○日大生物 11-2 東京農工大●(7回コールド) | ○駿河台大 4-2 工学院大● |
11/7 | ○日大生物 5-2 東京理科大● | ●東京農工大 8-9 東京国際大○ |
個人タイトル
首位打者 | 下嶋 由継(日大生.25) |
33打数16安打 .485 |
---|---|---|
最多本塁打 | 武笠 寛(日大生.6) |
36打数9安打 .250、3本塁打 |
最多打点 | 下嶋 由継(日大生.25) |
33打数16安打 .485、18打点 |
最優秀出塁率 | 下嶋 由継(日大生.25) |
33打数16安打15四死球、.633 |
最多盗塁 | 天田 雅伸(国際大.24) |
42打数19安打 .452、11盗塁 |
最多勝利 | 橋本 直弥(国際大.21) |
6勝1敗0S 防御率 1.66 |
最優秀防御率 | 佐藤 嘉紀(工学院.17) |
3勝2敗0S 防御率 1.24 |
最多奪三振 | 橋本 直弥(国際大.21) |
6勝1敗0S 奪三振 48 |
打撃成績 (規定打席数は、28-コールド勝利数)
打席 | 打数 | 安 | 本 | 塁 | 打点 | 犠 | 振 | 球 | 打率 | 出塁率 | 得点圏 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.下嶋 由継(日大生.25)△ | 49 | 33 | 16 | 1 | 24 | 18 | 1 | 5 | 15 | .485 | .633 | .667 |
2.天田 雅伸(国際大.24)△ | 49 | 42 | 19 | 1 | 24 | 7 | 0 | 4 | 7 | .452 | .531 | .444 |
3.竹森 崇幸(日大生.12) | 46 | 38 | 16 | 1 | 23 | 9 | 0 | 4 | 8 | .421 | .522 | .500 |
4.浅葉 直樹(日大生.8) | 49 | 31 | 13 | 0 | 15 | 4 | 9 | 3 | 9 | .419 | .550 | .375 |
5.坂内 聡(国際大.6) | 40 | 30 | 12 | 1 | 18 | 6 | 2 | 8 | 8 | .400 | .513 | .385 |
5.白坂 公一(理科大.22) | 29 | 20 | 8 | 1 | 12 | 4 | 2 | 2 | 7 | .400 | .556 | .250 |
7.柏井 伸二(農工大.21)□ | 30 | 29 | 11 | 0 | 12 | 2 | 1 | 3 | 0 | .379 | .379 | .286 |
8.白鳥 誠(農工大.31)△ | 47 | 37 | 13 | 0 | 17 | 2 | 2 | 3 | 8 | .351 | .467 | .250 |
8.佐々木 学(日大生.1)△ | 43 | 37 | 13 | 1 | 19 | 8 | 0 | 1 | 6 | .351 | .442 | .364 |
10.小玉 典宏(駿河台.22) | 47 | 43 | 15 | 2 | 21 | 6 | 2 | 3 | 2 | .349 | .378 | .429 |
11.清家 大(駿河台.10)△ | 48 | 29 | 10 | 1 | 14 | 4 | 6 | 2 | 13 | .345 | .548 | .333 |
12.福地 泰典(国際大.9) | 46 | 39 | 13 | 2 | 21 | 7 | 3 | 8 | 4 | .333 | .378 | .200 |
12.高野 哲広(駿河台.5) | 46 | 36 | 12 | 2 | 21 | 8 | 1 | 8 | 9 | .333 | .457 | .200 |
14.信田 人(農工大.4) | 47 | 37 | 12 | 0 | 13 | 8 | 3 | 4 | 7 | .3243 | .432 | .438 |
15.田中 秀和(農工大.27)△ | 43 | 34 | 11 | 0 | 14 | 3 | 5 | 1 | 4 | .3235 | .395 | .308 |
投手成績(規定投球回数は、28-コールド勝利数)
試合 | 勝 | 敗 | S | 投球回数 | 打者 | 安 | 本 | 振 | 球 | 失 | 責 | 防御率 | 被打率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.佐藤 嘉紀(工学院.17) | 8 | 3 | 2 | 0 | 51 | 203 | 33 | 0 | 22 | 15 | 12 | 7 | 1.24 | .188 |
2.内山 健蔵(日大生.19) | 7 | 4 | 0 | 1 | 30 1/3 | 115 | 18 | 0 | 9 | 8 | 6 | 5 | 1.48 | .175 |
3.橋本 直弥(国際大.21)△ | 10 | 6 | 1 | 0 | 70 2/3 | 292 | 54 | 2 | 48 | 27 | 19 | 13 | 1.66 | .213 |
4.駒木 康祐(駿河台.60) | 7 | 1 | 0 | 1 | 43 | 180 | 30 | 0 | 25 | 19 | 9 | 9 | 1.88 | .197 |
5.柏井 伸二(農工大.21)△ | 7 | 2 | 2 | 0 | 46 | 202 | 41 | 3 | 26 | 26 | 20 | 13 | 2.54 | .253 |
6.白坂 公一(理科大.22) | 7 | 3 | 4 | 0 | 42 1/3 | 188 | 32 | 2 | 28 | 24 | 19 | 13 | 2.76 | .211 |
7.古川 淳也(日大生.15)△ | 6 | 2 | 1 | 1 | 34 | 162 | 33 | 5 | 17 | 25 | 22 | 18 | 4.77 | .268 |
8.上村 圭介(駿河台.20) | 8 | 2 | 4 | 0 | 41 1/3 | 206 | 48 | 3 | 39 | 38 | 32 | 27 | 5.88 | .304 |
まずはわりと動きのある試合となるだろう。両チームの今季の戦いぶりを見てみると、 日大生物は個人の能力の高さをベースとした圧倒的な攻撃力で2部を制したが、 反面投手陣の不安定さも目立った。82得点・チーム打率 .310はともに2部トップだが、 54失点・チーム防御率4.55は2部ワーストである。この数字だけをとっても日大生物の 戦いぶりはわかってもらえるのではなかろうか。対する日工大は、筆者も実は今季は 2〜3試合しか見ていないので何とも言えないのだが、印象としては打線がとにかく 打てていない。投手陣も1部のチームを抑えるにはやや力不足な印象を受ける。ただ、 守りは比較的堅い。点を取れないのだがなかなか取られないということで、1部の試合 でもわりと接戦になっていたように思う(創価大学にはボコボコにされたようだが。 また、遊撃の村井が欠場した試合で代わりの選手が4失策したこともあったが)。 そう考えると、「点を取り合う日大生物」VS「守りあいの日工大」という、 対極のチーム同士の戦いという図式が目に浮かぶのだが、筆者はこの入れ替え戦では 点を取り合う方の展開になると見る。日工大は、打線の軸となる金子・塚野あたりが 4年生ということもあってかリーグ戦であまり打てていなかったのだが、ややレベルの 落ちる日大生物投手陣が相手ならば一気に目を覚ますことも考えられる。日大生物は、 リーグ戦で唯一安定した投球を見せた内山を軸とした投手起用を考えるだろうが、 この投手が日工大打線をも手玉に取るとはどうも考えづらい。筆者にはどうしても、 平成9年春に勢いに乗って優勝を飾った日工大のイメージが残っている。まして1部 での戦いでは(昨秋)、日工大はかなり日大生物投手陣を打っているはずである。 それゆえに、点を取り合う動きのある試合になると見る。日大生物打線も、日工大の 守りが堅いといっても大谷・川田・遠藤らの日工大投手陣からならそこそこの点を 取れるだろう。ただ、どちらが有利かは何とも言えない。勢いや雰囲気で言えば 日大生物か。まして日工大はリーグ戦を終了して1ヶ月以上待たされての入れ替え戦 となる。とは言え日工大の経験も侮れない。1部で3シーズン戦い、すでにチームに 「我々は1部のチームである」という意識づけはされていると思われる。そういった ことが細かなところで影響してくることもあるだろう。
駿河台大(2部6位)VS東京電機大(3部1位)
まずはここでのんきに展望などを書いている自分が恥ずかしい、と言うか駿河台には
申し訳ない気持ちが非常に強い。直接対決の結果を見ても他チームとの試合内容を
見ても今季の我々(東京農工大)は本当に駿河台より上の順位だったのかは怪しい部分が
多い。普段の入れ替え戦ならば下部チームを応援する傾向にある筆者だが今季ばかりは
駿河台の健闘を、本当にお祈りしたい。
その駿河台だが、このチームが今季入れ替え戦に敗れる、つまり3部に転落するような
可能性はほとんどないのではなかろうか。3季連続の最下位で入れ替え戦に
慣れていることもあるし、何よりリーグ戦ではどのチームとも互角に近い戦いが
できている、2部の中でも「侮れない、イヤな存在のチーム」なのである。これが
9勝1敗で3部優勝を飾って勢いに乗っているとは言っても電機大に敗れることは
筆者はあまり想像できない。ただその中でもいくつか、予想外の結果を招く要因は
ある。それをここで挙げてみたい。
まず電機大の戦力である。筆者はまったく把握していないのだが(昨年練習試合を させていただいたが、そのときからだいぶチームが変わっているのではなかろうか)、 聞く話によれば今年入った1年生にうまい選手が多いらしく、今春もシーズン途中から の猛追で東京都立大に肉薄する8勝2敗の戦績を挙げ、今季は9勝1敗で堂々の 優勝である。この戦力は、筆者が把握していないだけかもしれないが侮れない。 筆者が知る電機大はわりと波のあるチームで、乗った時には非常に強い(今、 どうなのかわからないが)。若いチームのはずだし、優勝ということで乗っていない はずはないのでこれは駿河台にとってもやっかいな相手であろう。次に、駿河台の ツキのなさが気になる。今季、日大生物・東京国際大といった2部上位校とも互角以上の 戦いをしていたと思うのだが、ちょっとのところで勝利を逃してしまった。日大戦・ 国際戦ともに、延長で敗れた試合が1試合ずつあった。そういった試合も含めて1点差 で敗れた試合が3試合(サヨナラ負け2試合)。我々農工大との第1戦は延長戦の末勝ち切れず引き分け(延長戦は全部で3試合)。 そして最後は、農工大が3点差以上で敗れれば駿河台の最下位回避、という、農工大 VS国際大の試合で農工大が1-9から8-9まで追い上げる粘りを見せて得失点差1点差 で最下位に。言わば最下位にならない戦いを十分にしてきての不運なこの結果だけに、 駿河台ナインの "イヤな気持ち" はどこかで影響を及ぼす可能性はある。
ただやはり、総合的に考えれば駿河台の優位は動きづらい。電機大も、勢いはある だろうが3年ぶりの入れ替え戦ということで、ほとんど経験者がいないのはつらい。 4年生がいるとも聞いているが、彼らは3年前は1年生で、捕手の楠本を除けば 「一応ベンチにいた」程度だろう。 この点は圧倒的に駿河台が有利である。また、3部で9勝1敗の戦績を残したと 言っても今春9勝1分で優勝して出てきた東京都立大も駿河台の前に敗退している。 そして2部と3部との大きな差の一つに守備がある。単にボールを取るとか投げるとか の技術もそうなのだが、守備に対する意識はやはり違いがあると思う。駿河台の 守備は、外野守備の堅さには従来から定評があるが、不安視されていた内野の守備も 井上という1年生の加入でわりとよくなった。二塁・井上が1失策、遊撃・玉内が 3失策、チーム全体でもシーズン13失策は国際大に次いで2番目に少ない。捕手の小玉 の盗塁阻止率も悪くないと思われ(計算してないが)、我々農工大の守備陣に 見習わせたいくらいである。対する電機大はよくわからないが、 3年前の入れ替え戦で、2部6位の 東京都立大の前に2試合とも1点差、守りのミスで余分に与えた点数が致命傷に なって2連敗で敗退している。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日大生物(2部1位) | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 6 |
日本工業大(1部6位) | 0 | 7 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | × | 10 |
日工・大谷、日大・古川の両左腕の先発で始まったこの試合、2回に日大が1点を先制するもその裏日工が一気の大逆転を見せる。2死3塁から須藤の適時2塁打で追いついた後、なお2死1.3塁と攻めて竹澤の遊ゴロが失策を誘い、勝ち越し。そしてその直後、この入れ替え戦全体を左右しかねない大きなプレーが起こった。2死1.2塁から1走・竹澤が捕手からの牽制で挟まれ、挟殺プレーに。ところが1走・竹澤と一塁手・下嶋が交錯。ボールがこぼれたのを見て2走・守屋が一気の生還を狙ったが今度は捕手の武笠と激しい接触。結局走者は無傷な上にオールセーフとなったが日大は4番を務める一塁手・下嶋と5番を務める捕手・武笠が相次いで負傷。このプレーで武笠の方が退場を余儀なくされた。さらに日工大はこの回に小竹の適時2塁打で1点を加え、藁科に四球を出したところで日大先発・古川はKO。代わった内山から北山の2点適時打で日工はさらに追加点を挙げ、この回だけで一気の7得点。日大も3回に無死満塁から2点を返し、後半にも追い上げを見せたものの4番の下嶋も3回の守備から退場したこともあり、攻撃力は半減。終盤にもしつこく追加点を挙げた日工が大谷の完投で逃げ切った。日工はレギュラーを務めていた4年生の金子・村井・塚野を欠きながらソツのない野球でミスにつけこみ、うまく勝った。一方の日大は武笠・下嶋の途中退場で反撃に拍車がかからなかったのだがなにより先発の古川の序盤でのKOが誤算。安定感チームトップの内山を2回途中から投入したおかげで試合は壊れなかったものの結局は内山のむだ使い。あまりいいところなく、今後の戦いに不安を抱いたまま第1戦を終えてしまった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本工業大(1部6位) | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6 |
日大生物(2部1位) | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 |
初戦のアクシデントで2人のタイトルホルダーが負傷退場した(下嶋は2冠なので延べ3人)満身創痍の日大は、前季全試合登板を果たしたタフネス滝沢をマウンドに送った。
その滝沢、初回に5連打を浴び3点を先制される。実に不安定な立ち上がりでネット裏の父兄等を心配させたが、2回以降はコースを突く丁寧なピッチングで追加点を最少に食い止める。
一方、日工大の先発遠藤もボールが先行する苦しい内容。4回までに7四死球を与えるが、日大がこの遠藤をなかなか捕えることができない。3回に伊藤・青木の連続適時打で3点を返すものの、4回までに8残塁を喫する拙攻。結果的にはこれが試合展開に大きく影響した。
7回に日工大は2点差を付けたところで、第3戦を考慮してここまで温存したエースの川田を投入。日大の負けが濃厚となったが、日大も7回から内山が登板。シーズン中と同様の安定したピッチングで3回を1安打無失点に抑え、味方の反撃を待つ。
内山の作ったリズムを攻撃に持ち込んだ日大は、7回の一死満塁、8回の一死三塁のチャンスをお膳立てするが、川田がふんばり1失点に封じる。最終回も無死から失策で出塁した下嶋が盗塁を試みるが捕手の守屋に刺された。このプレーに象徴されるように、やはり武笠の欠場が余裕のない攻撃を招いたのかもしれない。
日工大は打のイメージがどうしてもつきまとうが、この日は先発の遠藤に散々リズムを崩されたものの、失策1つという堅実な守備を見せた。 (以上、藤島君 筆)
筆者は第2戦を見ていないので何とも言えないのだが、やはりこの苦しい状況、1敗もできない状況で滝沢を先発させるという、非常に勝つ確率の少ない選択肢を選ばなければならなかった点に、今季の日大の弱い面が凝縮されているように思う。滝沢は確かに昨季全試合に登板し、わりと安定した投球を見せたのだが今季は試合に来ていない日もあったようだし、登板した試合でも打たれることが多く、あまりいい内容の投球はできていなかった。日大は圧倒的な攻撃力で2部の各チームを撃破してきたものの投手陣の不安定さも見え隠れしてはいた。唯一安定感のあった内山をどう使うかが焦点になったが、結局あまり彼を生かした戦いには持ち込めなかった。打撃中心の戦い方が、2部の中で通用したところまではよかったのだが、結局その柱の下嶋・武笠を欠いて理想の野球ができなかった。そういった目指す野球の、日工大との違いがわりと顕著に現れた入れ替え戦だったのではなかろうか。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京電機大(3部1位) | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 6 |
駿河台大(2部6位) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
電機は初回、駿河台先発・駒木の立ち上がりを攻め、4番の落合の適時打で1点を先制。その後は駒木もペースをつかみ、電機打線を手玉に取るが電機先発・落合も好投。やや動きが硬い駿河台打線を相手に5回まで1安打の好投。試合は投手戦となってきたが6回、駿河台は佐藤・清家の連続バント安打で作った好機を小玉の犠打で1死2.3塁と広げ、4番の高野へ。落合はここは高野を浅い右飛に打ち取ったが続く南に死球を与えて満塁とし、中岡に押し出し四球で同点。さらに玉内の内野安打で駿河台に逆転を許した。駒木は依然として好投を続け、駿河台の1点リードで8回を迎えたがここで電機は喜多の安打から1死2塁の好機をつかみ、代打山川の適時打で同点。続く馬場の遊ゴロが敵失を誘って好機を広げ、瀧下の安打で1死満塁と攻める。ここで駒木は3番・桜井に対してカウントを0-3としてしまう。そしてストライクを取りにいった高め直球を桜井が叩く。打球は中堅へ伸び、国際大グランドの浅い中堅フェンスを超えて勝ち越しの満塁本塁打となった。結局このリードをエースの落合が守り、電機が先勝。落合-駒木の投手戦は不運な一発で決着がついた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
駿河台大(2部6位) | 0 | 4 | 0 | 0 | 3 | 3 | 1 | 1 | 12 |
東京電機大(3部1位) | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 5 |
初戦の惜敗で後がなくなった駿河台は、先発に上村を立て背水の陣で臨んだ。
駿河台は2回、2つの四球と野選で作ったチャンスに佐藤と小玉の適時打等で4点を先制。電機大も制球に苦しむ上村から細かく加点し追いすがる。
5回表、電機大の先発瀧下が90球を超えたあたりから疲れを見せ、3連続四球を与え中岡のスクイズの際に自らエラーを犯し3点を献上する。ここでほぼ勝負は決まった。
その後も駿河台は代わった富沢から南が本塁打を放つなどしたが、それとは対照的に電機大は4安打を放つのが精一杯だった。
勝負は第3戦に持ち込まれたが、第3戦に駿河台がどのような投手起用をするかということに興味が注がれる。 (以上、藤島君 筆)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京電機大(3部1位) | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 |
駿河台大(2部6位) | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | × | 7 |
予想通り落合を先発させた電機に対し、駿河台はリーグ戦でも未勝利であまりいいところのなかった堀田を先発させた。そしてこの堀田が序盤から綱渡りの投球を展開する。初回の1死満塁の危機をなんとか併殺で切り抜けるものの、1点を先制してもらったあとの2回にも1死2塁の危機を迎える。ここも下位打線を相手に何とか抑えたものの3回、再び1死満塁の危機を迎える。ここで暴投で1点を失うものの結局その後の1死2.3塁を抑え、不安いっぱいの投球ながら3回を1失点で降板する。そして3回裏、第1戦で抑えられた落合を相手に駿河台打線がつながりを見せる。佐藤・清家の安打等で作った無死満塁の好機に高野の押し出し四球で1点を勝ち越し。なおも玉内・南の連続適時打で追加点を挙げ、この回4点。4回から駿河台は第2戦で勝利投手になっている上村をリリーフに送り、これがまずまずの投球で中盤を乗り越える。しかし電機も7回、2死から瀧下の安打、桜井の四球で1.2塁の好機を作り、チームの大黒柱、4番の落合がしぶとく三遊間を抜く安打を放ち、1点を返す。一気に反撃ムードが高まったものの駿河台はここでエースの駒木をリリーフに送る。結局駒木が後続を断ち、7回に挙げた追加点にも守られて駿河台が逃げ切った。駿河台はリーグ戦から続いて入れ替え戦の第1戦まで不運を引きずり続けたものの自力で2連勝。加盟以来5度の入れ替え戦を3部昇格、2部昇格、2部残留、2部残留、2部残留、通算でも10勝2敗として入れ替え戦での圧倒的な強さを見せつけた。対する電機は優勝の勢いに乗り、非常に明るい雰囲気でわりと堅実な野球を展開したものの第3戦は頼みの落合に第1戦ほどの球のキレもなく、惜しくも敗れ去ってしまった。
振り返れば戦前の筆者の「駿河台圧倒的有利」という予想とはやや異なった展開となった。そこには、電機大の予想以上の健闘があったと言えよう。電機大の野球は、個々に突出した選手はあまりいないながらも全体として非常に機能しており、この野球を3部でやられたら他チームは相当苦しいだろう、という印象を受けた。実力的に2部最下位ではないとかながね筆者が言ってきた駿河台を相手によく戦ったことと思う。4年生が何人かレギュラーに入っていたチームなので、来年どうなるかわからないが、1年生にもいい選手が多いようで、今後の電機大の動向は大いに気になるところである。
ここ数年の2部のリーグ戦を振り返れば、工学院大の5連覇(平成5年から 平成7年)のあとは、 平成7年秋に東京理科大、平成8年春に駿河台大、平成9年春と平成10年春は 東京農工大が、単発的に 優勝争いに加わってはいるが結局最後には東京国際大・杏林大の どちらかが優勝を飾っている。この両校ともに調子の悪かった 平成9年春季には、3部から昇格したばかりの日本工業大が 突如2部優勝・1部昇格を果たしたものの、国際大・ 杏林大を軸とした優勝争いが主流となっている。その杏林大が 1部昇格でいなくなった昨季は国際大が優勝。今季は、優勝候補 筆頭の国際大にどこがついていけるのか、が焦点となるが、 場合によっては国際大がシーズン中盤から独走してしまう 可能性も十分に考えられる。リーグ戦を盛り上げるためにも、 他の5チームのがんばりが何よりも大事である。
優勝候補筆頭と思われる国際大は、昨季は8勝2敗で優勝を 飾り、入れ替え戦でも1部まであと一歩と迫った。川内真之 (4年生、徳島城南高校出身)・橋本直弥(3年生、坂戸高校 出身)の両左腕はともに4勝を挙げて最多勝を獲得し、 打線も大技・小技を絡めていい攻撃を展開した。野手に 関しては大きな戦力抜けはなさそうで、今季も春と同じ くらいの、もしくはそれ以上の戦力を保てるだろう。 特に天田雅伸(2年生、佼成学園高校出身。就職難の この時代に2年生にして就職内定の噂も。野球がうまいことは いいことだ)は小柄ながら 攻守に抜群のセンスを見せ、また、2年生ながらチームの 精神的な柱でもある。彼が健在のうちはこのチームは そうそう大きく崩れることはないだろう。他にも越智孝宏(2年生、 足利工大附属高校出身) や石川敦史(2年生、東和大昌平高校出身)あたりも数字以上の 働きを打線の中でできているし、守備でも越智・天田の二遊間は 堅い。1年生にもすぐに使えそうな選手が入ってきているようで、 若いチームながら野手の戦力はわりとある。 やや不安視されるのは、川内が引退した場合の投手陣か? 川内の衰えも考えると戦力的には大きな影響はないかも しれないが、これまで1シーズンに平均約40イニングをまかなって きた投手を欠くのは痛い。本格派右腕の木村(1年生、伊勢崎東高校出身) あたりがどこまで橋本をサポートできるかも、一つのポイントになりそうだ。 また、国際大は2部のチームの中で、唯一「お得意さん」を 持ってもいる。2部の中でイヤな存在とされる東京理科大・ 駿河台大の両チームに対して相性がいい。この両チームから 4勝を計算できるのは今の2部では国際大だけであろう。 国際大に独走を許さないためにも、東京理科大・駿河台大の 両チームには、国際大との対戦で牙をむいていただくことを お願いし、我々農工大とともに "国際大包囲網" を作って いただければ幸いである。
この国際大についていく可能性が高いのは、その戦力を 筆者もよく把握していない、日本大学生物資源科学部である。 日大は、2部転落後最初のシーズンとなった昨季、4勝6敗の 4位という予想外の結果に終わってしまったが、もともと 転落後の最初のシーズンはいろいろ戦い方が難しく、 いい戦績を収められないのはわりと普通である。それに 対して2シーズン目にはわりといい戦績を収めることがある。 ナインも2部の野球がわかってきただろうし、もともと 附属の強豪校から進学してきている人間がほとんどである。 「個々の血統」で言えば2部でトップレベルであり、それは 昨季の個人打撃成績等を見てもわかる。そして 不振だった昨季も、半分くらいはすごくいい形の野球を展開 している試合があった。チームとしての雰囲気を盛り上げ、 10試合を通してその野球を展開できれば優勝は十分に 可能である。打線には高い能力を持った選手が並んでおり、 盗塁王の浅葉直樹(2年生、日大藤沢高校出身)、首位打者の 下嶋由継(3年生、佐野日大高校出身)、打撃センスのある佐々木学 (3年生、日大明誠高校出身)、一発長打のある竹森崇幸(3年生、浦和学院高校出身) らが並ぶ打線は、平成8年春に2部優勝を飾った国際大の「100点打線」 (1シーズンで99点をたたき出した強力打線だった)を連想 させる。 投手も、春にまずまず安定した投球を見せた軟投派左腕・ 滝沢直己(4年生、日大藤沢高校出身)や、1部での経験もある 本格派右腕・石井盛男(3年生、佐野日大高校出身)がおり、 タイプの違う両投手がチームに残って実力を発揮すれば 非常に手強いチームである。
東京理科大は、昨季久々に勝率5割を確保し、Aクラス入りを 果たした。2部トップレベルの安定感を誇るエース・白坂 公一(2年生、仙台第一高校出身)が何と言っても中心である。 昨年春のシーズンの途中から主戦として投げ続け、いい加減 他チームも対戦を重ねてわかってきているにもかかわらず、 直球とスライダーのキレで相手を抑え、安定した投球を 続ける。ピンチで動じず、四死球が少ないのも安定度が 高い要因だろう。ただ、このチームの課題はその白坂を サポートする体制であろう。昨季は白坂自身は防御率 0点台ながら3勝止まり。延長戦を投げきって引き分けた 試合が2試合、1失点に抑えながら負けた試合も1試合 あった。打線の非力さを、バントやスクイズを多用した 作戦によって補う攻撃を心がけ、それも方針としては 悪くなかったものの、昨季は30イニング連続無得点 ということもあった。打線がどれだけ白坂をサポートできる かが大きなポイントとなるが、今季から主将が繁田光平 (4年生、大宮高校出身)から森淳一(3年生、水戸第一高校出身)に代わる らしく、多少攻撃のスタイルを変えてくることは予想される。 また、2番手以降の投手も課題ではあるが、倉田晃文(3年生、 国分寺高校出身)や、野手も兼ねる白井憲一(3年生、 日大習志野高校出身)あたりは2部での経験もあるし、 福永健治(2年生、土浦第一高校出身)あたりも短いイニングならおもしろそうな 存在である。秋は雨が多く、日程も苦しくなることが多い シーズンだが、投手の人数はいるのでなんとか白坂をサポート していけそうな気はする。
工学院大は、1部から2部に転落したあとは、戦績は下降線ではあるが、 持ち前の、攻守にわたる堅実な野球が普通にできれば そうは崩れないはずのチームである。昨季は集中力の 途切れで大量失点したり淡白な攻撃を繰り返したりも したが、今季は主将が代わってチームの雰囲気も多少変わると 思われるので、そのあたりを修正してもくるだろう。 また、戦力的にも、何人か軸となれる選手がいる。 エースの岡川貴光(3年生、工学院大学附属高校出身)は、2部でも トップレベルの投手である。直球の速さならば岡川は 今の2部で1番速いかもしれないし、スライダーも悪くない。 白坂ほどの安定感はないものの岡川が実力を普通に発揮 すれば、2部のどのチームにも普通に勝つ力はある。 実際に、昨季国際大にも日大にも勝っているわけである。 あとは岡川が投げない場合の試合をどう勝つか、そして やや得点力の弱い打線がいかに得点を取るか、ということが ポイントにはなるが、2番手投手には右の佐藤嘉紀(3年生、 工学院大学附属高校出身)がいるし、打線にも長打の 打てる塩見誠(3年生、工学院大学附属高校出身)がいる。 センターラインの守りも、捕手の串田純司(3年生、 工学院大学附属高校出身)や二塁手の岡部秀直(3年生、 富士森高校出身)らはわりと安定しているので(4年生の 横溝陽介が引退しなければ遊撃の守りも安定する)、 うまく接戦をものにすれば優勝戦線に出てくることも 十分あり得る。
東京農工大は、昨季は勢いで優勝争いに参加。ただ、6勝の うちの5勝をコールドで飾りながら3敗はすべてコールド負け、 と相変わらず強いのか弱いのかよくわからない。ただ、 さいきんの2部のチームでは珍しく毎年のように複数の 計算できる投手を持っており、本来ならば大きく崩れなくていい チームである。今季も、昨季投打に大車輪の活躍をした 岩本学(3年生、鳥取西高校出身)、潜在能力は高いものを 持ち、ラストシーズンに賭ける中島敬蔵(4年生、飯田高校 出身)、不思議な雰囲気で相手をかわす軟投派左腕・柏井 伸二(2年生、土佐高校出身)の3投手をうまく使えば、 優勝争いに参加する可能性も少しはあるだろう。 6月の東京都国公立大学体育大会では2年連続となる 優勝を飾っており、部員の自信にもなっている。 また、2季連続の最下位を味わってしまった駿河台大は、 今季も苦しい戦いにはなりそうだ。ただ、その中でも 右サイドのエース・駒木康祐(4年生、沼津城北高校出身)は、 シーズンを重ねるごとに投球内容がよくなっている。 毎試合のように登板するがタフな投手で、疲労もあまり 心配なさそうである。これに長身の芳賀信之(2年生、春日部共栄 高校出身)、野手も兼ねる小玉典之(2年生、成田高校出身)、 さらに1年生の投手も3人くらいはいるようなので、 投手起用によっては2部をかき回しそうである。打線も、 昨季の個人成績を見ても個々人ではわりといい成績を 残している。昨季の東京都立大との入れ替え戦などではわりと いい形の攻撃ができつつあり、伝統的な攻撃野球が 復活してくる可能性はある。その中でも主砲の高野哲広(4年生、 駿台甲府高校出身)の打撃には要注意である。長打を 打つ力を十分に備えているが、加えて状況に応じた打撃が できてきている。実力があるとチームのことよりも どうしても個人の成績のことを考えてしまう選手が多い 今の2部だが、高野の打撃には、筆者個人的に注目したい。
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