平成16年2月21日(土)。第10回Vリーグ女子のファイナルラウンド第2日。 大阪の八尾市立総合体育館にパイオニアレッドウィングス・東レアローズ・ NECレッドロケッツ・久光製薬スプリングスが集った。10チーム2戦総当たりの リーグ戦を終えて上位4チームが進出するファイナルラウンド。4チームが 直接対決の3試合を戦い、その上位2チームが決勝ラウンドに進出するという仕組み。 その、4チーム直接対決(3日連続)の第2日を筆者は観戦に行った。
観戦を決めるまで
横浜在住の会社員である筆者は、前日まで大阪に行くかどうかを迷っていた。
日程を考えると4チーム総当たりの今週と決勝ラウンドの来週、観戦に行ける日は
この1日しかなかった。見に行かないと悔いが残る気がする。ただ、
行って会場に入れるかどうかという心配も少しあった。前年のワールドカップで
それなりに盛り上がったこともあり、Vリーグの試合もそれなりに観客が入る。
ましてファイナルラウンドである。まして、先のワールドカップで新星として
話題をさらった大山加奈・栗原恵が所属する東レ・NECが直接対決する日でもある。
観客が多く入っておかしくない。今回のVリーグ女子は、筆者は12月の山形と
1月の海老名とを観戦に行っていたが、やはりしっかりと観客が入っていた。
行くだけ行って見られないのだけは避けたい。そう思って前日夜に職場近くの
チケットぴあで前売券を買っておこうかと思ったが、どうも扱っていないらしい。
関西の試合だからか? 帰宅後、大阪のバレーボール協会に電話したりもしたが
夜も遅くてつながらず。結局決断する材料はなかったが、「当日券が買えなかった
ことは今までない」という理由で、行くことにした。
もう少し言うと、たまたま筆者の都合がよかったのが第2日であるが、 この日に観戦に行くことにも意味はあると思っていた。第3日だと、最悪の場合、 すでに決勝ラウンド進出チームが決まっていて消化試合となっている可能性がある。 第1日でもいいのだが、ここはまだラウンドの初期ということでの変な緊張が あったり手探りになっている部分もあるかもしれない。第2日あたりは、 どのチームも負けられない試合、そして初戦の緊張感も取れて高いパフォーマンスを 出してもおかしくない試合となると考えられる。
いざ山本駅
翌朝、9時半ごろ新横浜を出発する新幹線に乗り、12時前に新大阪到着。
来たことがない場所ではないが新鮮ではある。エスカレーターで左側を空ける
習慣を聞いてはいたが初めて見て少し驚いた。梅田駅から阪急山本駅へ。
14時試合開始だったが当日券を早めに買えるようにと1時間くらい余裕を見て
向かっていた。ところが山本駅が近づいてVリーグの選手名鑑の会場案内を
見てみるとおかしいことに気がつく。向かわなければならないのは近鉄山本駅らしい。
まちがえて調べてきてしまった。山本つながりですぐそばに駅があってくれれば
よいのだが結果は完全な裏目だった。阪急山本駅で駅員に教えてもらった。
「梅田から来た」と言うと「完全に逆方向」と言われた。しかも行くべき駅は
正確には近鉄線の "河内山本駅" というらしい。名前が変わっていたのか?
確認しなかったこちらも悪いが、選手名鑑ももう少ししっかりしてくれよ...。
取り越し苦労、難なく入場
八尾市立総合体育館に着いたのは結局14時45分ごろ。第1試合は始まってしまって
いるのはわかっていたが、第2試合もあるし、ここまで来て帰るわけには
いかないので行った。時間に余裕を持って来たので、なんとかこれくらいの
遅刻幅ですんだ。ちなみに懸念していた当日券についてはまるで問題なく、
どの席も買えた。アリーナ指定席を買った。サーブを打つ選手の後ろあたりの席。
かなりコートが近い。なぜか筆者の席の辺りには、東レ・達川監督を含めて
東レの関係者が座っており、空いている別の席に座った。
着いたのが第1試合(パイオニアVS久光)の第2セット終盤。パイオニアが取って セットカウント2-0とした。遅刻したこちらが悪いのだがなるべく多く見たいので 久光にセットを取り返してほしいと思ったが3セット目もパイオニアが取った。 やはりパイオニアは強いのだろうな、と感じるとともに、2日続けてストレート 負けの久光の元気のなさも少し気になったりした。
大事な試合、プレーボール
第2試合は東レVSNEC。前日3-0で久光に勝ったNECと、2-3で惜しくもパイオニアに
負けた東レ。ファイナルラウンド2日目、東レは負ければ終わりだがNECも勝てば
決勝進出が決まるので当然、大事な試合。互角の熱戦を期待する。そして、
先にも触れたが大山と栗原の対決という、ファン・マスコミにとっての期待も
あるカードだ(筆者はそんなに気にしていないが)。ところが試合前の練習で
大山が見当たらない。しばらく時間がたってやっと見つかったと思ったら
ユニホーム姿ではなく練習の手伝いにまわっている。選手層がそれほど厚くない
東レがわざわざ大山をはずすとは考えにくい。前日フルセットの戦いの中で
負傷でもあったのか? 先発メンバーが発表されてもやはり大山の名はない。
東レはシーズン中に五十川葉子というレフトの選手が負傷したと、テレビ中継で
聞いた気がしたが、ここにきて大山まで欠き、強力なアタッカーは外国人の
アダムス一人。今季ライトを務めていたはずの主将・向井久子をレフトに入れ、
ライトには試合出場は多かったもののレギュラーにまで定着はしていなかったと
思う芝田安希を入れるという、苦しい布陣となった。
試合は第1セットから熱の入った一進一退の攻防となる。それでも東レが2セットとも 25-22と制した。筆者はバレーボールを見ることに慣れてはきたものの、 結局専門家ではないので、実は途中の各プレーをあまり覚えていられず、 また試合経過の表現もどうしたらよいかわからない。とにかく25-22で東レが取った。 試合もちゃんと見ていた(つもりだ)が、筆者の座る席は片方のチームの 控え選手のスペース(なんと呼ぶのかよくわからない)にほど近かった。 1セット目は東レ、2セット目はNECの控え選手がそばにいた。出番が巡って 来ないことはつらいだろうが、どちらの選手も声を出し、また、出番に向けての 準備をし、試合に集中している様子は感じられた。その中で東レの西脇万里子という 選手にちょっと目が止まった。筆者は一時東洋紡オーキスのファンだったことがあり、 この選手が元東洋紡であることも知っていたが、選手としてあまりよく知らない 選手だった。それが目に止まったのは「そこそこかわいいじゃん」という不純な理由が 主である。180cmを越える身長。ヒョロっと高いタイプはわりと多いがこの 選手は足なんかも太く、わりとがっしりした印象のある選手。別に女性選手の 顔や体を見るために行っているわけでもないのだが、タイムアウトの最中の ささやかな時間に、走ったり飛んだりしている姿や仕草に、なんとなく目が止まった といったところである。
一応断っておくと、筆者のバレーボール観戦に「かわいい選手を探す」といった 目の保養的な意味が1%もないとは言わない。ただし、その比率は自分では そんなに高くないと思っており、それよりも女性同士の必死な真剣勝負を見たい、 といった意味合いが強い。特定なファンの選手も現在、いない。
野球人がバレーボールに惹かれる理由
ところで筆者は野球を長くやってきている人間である。少年野球から始まって
現在の社会人野球までほぼ途切れることなく続いているので、けっこう長い時間、
野球に携わっている。自分では「野球人」と思っている。その筆者がなぜか
バレーボール観戦を趣味とするようになったのだが、こじつけっぽいことで言えば、
両者にはそれなりの共通点があるように感じてきている。まずは攻守が一応
はっきりしている。バレーボールでは一瞬で切り替わるが、ボールが自コートに
ある数秒の間は、どう攻撃を組み立てていくかを瞬時に考えたりする "攻撃" の
時間ととらえることもできよう。アタッカーVSブロッカー(レシーバー)の対決や
微妙な駆け引きは、投手と打者の対決や駆け引きと通ずるものがあるかもしれない。
順番にサーバーがまわるあたりは野球の打順に
通ずるところがあるし、ポジションとか相手との兼ね合いも考慮した布陣というものも
野球と通ずるところがある(後者はサッカーあたりもあるかもしれないが)。
采配についても、バレーボールではベンチがとることができるタイムアウトが
1セット2回まで。野球の試合でも社会人野球では守備時のタイムが1試合3回まで。
これをどう使っていくかも試合運びの上で重要である。選手起用についても
バレーボールのワンポイントブロッカーなどの考え方は野球のワンポイント
リリーフに通ずるところがある。そのような、似た要素があるので、
バレーボールの試合を観戦することは野球人の筆者としても勉強になる部分は多い。
もともとは不純な理由も持ちながら見始めた女子のバレーボールであり、
今もそれを完全に否定するものでもないが、「勉強になる部分がある」のは
わりと本当のことである。そういった視点で見ている筆者に、非常に興味深い
シーンが、この試合の第3セットで起こった。
タイムアウトの妙
第3セットはあとがないNECが7-3とリード。たまらず東レ・達川監督がチャージド
タイムアウトを取った。悪い流れになったときにタイムアウトを取って流れを
変えるのはわりとよく見られる光景である。ここで流れが変わり、東レは
4-7, 5-7, 6-7と追い上げる。NECはどうするかと思ったが、先に8点に到達すれば
自動的にタイムアウト(テクニカルタイムアウト)になるということで決断が
遅れたか、タイムアウトを取らなかった。東レは勢いに乗って7-7, 8-7として
逆転して東レリードでテクニカルタイムアウトに入った。それでも東レの
勢いは止まらず、9-7, 10-7と差を広げた。若いチーム、勢いに乗ると恐い。
たまらず「ホワン ホワン」とタイムを知らせる音。筆者のそばにいた東レの
控え選手たちが体を動かすためにコートに出て行ったが「違うみたいよ」という
表情で戻ってきた。NEC・葛和監督が選択した策はチャージドタイムアウトではなく、
エースで主将の高橋みゆきから、同じレフトの仁木希への選手交代だった。
確かに悪い流れを変えるために選手交代という策を使うこともあるが、
これはどうだろう? と思った。さらに東レに1点が入る。NECのコーチらしき
人物がNECの控え選手スペースの方に向かったようだ。選手が控え選手スペースと
ベンチの間を行き来する光景はよく見るが、コーチが行き来するのはあまり
見られない。どうも、下げられた高橋に話をしにいったように見えた。
全日本のエースでもある高橋、好選手がそろうNECでは途中交代もありえることは
承知の上だろうが、この交代はおもしろくなくても不思議はない。
総力を賭けた "このセット"
その後NECも追い上げ、15-13東レリードの場面でとんでもないことが起こった。
ジャンプして着地した東レのエース・アダムスが足を負傷したらしく、
這うようにしてベンチに戻った。慌てた東レベンチ、どうするかどうするかと
いった雰囲気の中、仕方ないのであと1回しかないチャージドタイムアウトを取った。
早急にトレーナーがアダムスの足をマッサージ。例によって控え選手は
コートの脇に出て軽く体を動かしているが、東レのコーチらしき人から西脇に
何らかのサインが出た。「お前がありえるぞ」といったことだろう。
アダムスはなんとか戻ったが、15-15になるプレーでアタックのためにジャンプ
したときにやっぱりダメだった。また倒れこんだ。右足をつっている模様。もう仕方ない。
アダムスを西脇に代えた。レフトの控えだった五十川のシーズン中の負傷に加え、
2枚エースのアダムスと大山がファイナルラウンド第2戦にそろって出られないケース。
ましてもう、ベンチにレフトプレーヤーはおらず、センターのポジションである
西脇を急遽起用する苦肉の策。その西脇にしても、
あとで筆者がVリーグ公式サイトで大ざっぱに調べたところによると、
今季5試合8セットに出場したくらいの実績である。
セットカウント2-0とリードはしているもののにわかに窮地に追い込まれた。
おさらいすると、4チーム総当たりの短期決戦で、東レは初日にパイオニアに敗れている。 今日負ければ決勝進出は断たれる。さらに言うと、セット率のこともあるので 勝つにしても失うセットを少なく勝つ方がよい。そこまでは試合前からわかっている ことだが、この場面に来て、この第3セットが非常に重要なセットとなった。 アダムスのマッサージは続くが、このセットにアダムスが出ることはないだろう。 仮に落とすと第4セット以降をアダムス抜きで戦わざるをえないかも知れず、 それでは強敵・NECから1セットを取るのも難しい。アダムスが無理して出場 したとしても万全のプレーができるかわからないし、仮に勝っても明日また 勝たなければいけない試合が続く。外国人ということで見た目にわかりづらいが、 名鑑によればアダムスも34才。日本人の女子バレーボール選手ならばほとんど 引退している年齢であり、肉体的な衰えは少なからずあるだろう。 1日でどれだけ回復できるかわからない。東レとしてはこの第3セット15-15の場面から、 アダムス抜きでセットを取らなければならない。おそらくはそれができなければ どう転んでも優勝への望みが絶たれる結果となりそうである。にわかに大きな 試練のセットとなった。
しかしそこから東レも耐えた。全日本クラスの選手が並ぶNECに対して、飛車角抜きの 状態の東レが互角に渡り合った。特に主将でこの日レフトに入っていた向井久子が わりとがんばったと見えた。セッターの小玉佐知子も、レフト一本やりでなく、 センター攻撃、ライトへのトスと、必死に攻撃を振り分けてエースなき布陣で相手に 的を絞らせないようリードした。ベンチとしてはもう2度のチャージドタイムアウトは 使い切っている。選手交代にしても5人がベンチに残ると言ってもアダムス・大山の 出場はないだろうしあとは内定選手の高校生も含めて経験の浅い若い選手。 ベンチはすでに策を尽くして動きようがなく、コートに出ている選手に託すしかない。 そんな中、23-22とNECがリードしたが東レが逆転して24-23。 ここで、マッサージを続けていたアダムスが控え選手スペースに来て倒れこんだ。 「そんなに症状が悪いのか?」と思ったが、そうではなくてひざまづいて 手を合わせてお祈りを始めた。そして最後は新人の荒木絵里香が1枚ブロックで 相手を止めた。25-23でこのセットを東レが取った。コート上は東レが大騒ぎ、 歓喜の輪ができた。アダムスが左足だけでピョンピョン跳ねながら仲間を 迎えに出る。泣いている選手もいるようだ。アダムスが抱えるように選手たちを迎える。 そして、試合直後の柔軟体操の中、筆者のプチ注目選手・西脇が泣いていた。 あやうくこっちも泣きそうになるではないか。急遽巡ってきた出番。 心の準備が足りなかった点もあるだろうし、当然アダムスの穴を埋めるほどの 活躍はできない。ベンチもそこまでの期待はしていなかっただろうし、 実際にミスも出てしまい、挙げた得点も1点もなかったかもしれないが、 よくやったと言っていいだろう。
振り返って
いろいろ紆余曲折があった末にたどり着いた八尾市立総合体育館。
2試合のうちの1試合はろくに見ることができず、もう1試合もセットカウントと
しては3-0で終わってしまったので試合を見られた時間は少なかったかもしれない。
ただし、第2試合第3セットだけで、「見に来てよかった」と思えた。
それだけのものがこの1セットに凝縮されていた。ただでさえプレッシャーが
かかる試合で予期せぬことまで起こって窮地に立たされ、それでも、
筆者よりもだいぶ若い選手たちがものすごいがんばりを見せて勝ち取った勝利。
その過程と、勝ったあとの感激は、とても印象深いものだった。
もう一つは両ベンチの駆け引き・采配といった面でもとてもおもしろいセットだったと思う。
たまたまではあるが、タイムアウト・選手交代といったベンチワークの点で
東レとNECに大きな違いが出て、結果の部分でも大きな違いが出た。
このあたりは野球の作戦を普段考えたりする筆者としても、とても興味深かった。
筆者が疑問を感じたNECのタイムアウト・選手交代の部分。
筆者は専門家ではないので説得力のある説明をできるわけでもないし、
結果的に8連続失点を喫してそれでも最後は23-22とリードするところまでいったので
序盤の失点場面は勝敗のポイントではなかったという見方もできるかもしれない。
ただし、チームは15-15から飛車角抜きの相手に対してセットを取れず、
ベンチに下げられた高橋は再びコートに戻ることなく敗戦のときを迎えた
という事実は残った。
後日談
翌日の第3日、第1試合でパイオニアがNECに3-0で勝ち、3勝0敗で1位決定。
そしてその時点で、1勝1敗だった東レが第2試合でストレートで敗れて1勝2敗で
NEC・久光と並んでもセット率で上回るということで東レの2位も決まった。
そのこともあったのか、東レは久光にフルセットの末、2-3で敗れ、
ファイナルラウンド1勝2敗での決勝ラウンド進出となった。
翌週のパイオニアVS東レの決勝ラウンド、第1日はフルセットにまでもつれこむ 大接戦となったが東レが勝利。腰を痛めていたらしい大山も途中出場したようだ。 そして第2日はテレビ中継もされたのでそれを録画して筆者も見ることができた。 第1日を勝利している東レが若干有利とも思われるが結局この第2戦が優勝を大きく 左右する一戦となった。第1・3セットがデュースにまでなる接戦だったが 3-1でパイオニアが勝った。1勝1敗だがセット率でパイオニアが上回ってパイオニアが優勝。 東レは惜しくも2位に終わった。
今季の東レ、戦前の評判がどれだけだったのかよく知らないが、現状ではVリーグの 中で "まぎれもなくNo.2" のチームだと思う。まぎれもなくNo.1なのがパイオニア。 実績のある選手を集めてチームを強化。個々の選手の技術と経験は申し分なく、 ベテランぞろいゆえの体力面の不安を言われたこともあったが今季はそれを 感じさせない戦いだったと思う。圧倒的な攻撃力を持つ一方で守備が弱いとも 言われてきたが、筆者が観戦した試合に関してはそんなに崩れた印象はなかった。 とにかく、レギュラーラウンドを首位、ファイナルラウンドを首位、そこまででも 優勝を与えてよかっただろうが、そこまでして決勝ラウンドにだけ負けていたら 優勝を逃がしてしまうというプレッシャーの中でも初戦を落としながら逆転優勝を飾った。 本当に強いチームだったと思う。ただしそのパイオニアに、ここまで互角に 戦えたのが東レだと思う。レギュラーラウンドで直接対決2勝。ファイナルラウンドでは 敗れはしたがフルセットまで競った。決勝ラウンドも1勝1敗。今季のパイオニアに ここまで戦えたのはおそらく東レだけだろうし、その意味で "まぎれもなくNo.2" と思う。 優勝できなかったのは悔しかろうが、価値ある2位である。
外国人のアダムス(34才)、主将の向井(25才)、セッターの小玉(25才)を除くと 全員が22才以下という極端に若い東レ。そのチーム構成でこれだけの戦いを したことを考えるとこの先は本当に楽しみである。大阪での観戦で印象に残った言葉の一つに、 西脇が泣いていた場面でコートの真ん中で行われていた向井のヒーローインタビューでの 「勝つとかどうとかより、今このチームで戦えることがうれしい」という言葉があった。 チームワークの点でもいい状態にあるのだろう。 今のVリーグはけっこう実力伯仲していることもあり、東レが楽しみと言っても 「これから東レの黄金時代が来る」とも予言はできない(筆者はしない)。 また、今回の一件で筆者が東レおよびそのメンバー誰かのファンになったということでもないが、 向井の言う "このチーム" がどうなっていくのか、ささやかながら注目したい。